ナッツ瞑想

ボリボリボリという振動が
顎を伝わり頭蓋骨に響いています。

カシューナッツを噛み砕いています。
塩気と甘みを伴う、自然な風味が
口内に満ち、やがてゆっくりと
ひいていきました。

次は、コリコリコリという
振動が響きます。
これは、アーモンドです。

香ばしい風味が鼻に抜け、
種皮の渋みが舌を占領します。
いくばくかの渋みを舌の上に残し、
喉の深淵へと降りていきました。

スゴゴ スゴゴという食感のクルミは、
渋みと脂質のかすかな甘みが、
ジュワッと口内に広がり、
さらっと流れて行きました。
素晴らしい、味わいです。

何をしているのか?
ナッツ瞑想です。

なぜ、そんなことを、淡々とやっているのか?
いい質問です。

それを説明するのは、少し面倒くさいのですが、
お答えします。

ナッツを食べる時、
私は一瞬でそれの虜にされ、
食欲の波に呑まれてしまします。

次の数粒を追い求め、
悪魔に取り憑かれた
ベルトコンベアーのごとく
右手はナッツを口へ供給し続けます。
そして、ひたすら咀嚼と
嚥下の反復運動を繰り返します。

口の中で渾然一体となった彼らの味を、
識別することは不可能ですが、
そんなことはどうでもいいくらい、
美味いのです。

でも、抗しがたい欲望に
埋没した自我状態では、
この世界との分離を強めてしまい、
ノンデュアリティー、
つまりワンネスから
遠ざかってしまうのです。

そんな、欲望に埋没した
自我を助け出し、
”今に在る”ことを保ちながら、
ナッツを堪能することができる方法、
それがすなわち、ナッツ瞑想なのです。

微細な味覚、触覚に意識を傾けることで、
”今”を取り戻すことができます。

一粒一粒、丁寧に
噛み応え、舌触り、味、香りを
一人食レポすることで、
人を虜にしてしまう、獰猛な魔力をもった、
ナッツに負けることなく、
”今に在る”ことが、
できるようになります。

ちなみに英語で言うと Be here now です。

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